Abstract : |
St.Thomas' Hospital液(以下ST液)の酸素加の条件が心筋保護効果に及ぼす影響をラット摘出心灌流モデルを用いて低温下において検討した. 実験群は虚血心筋温及び酸素加の条件につき以下の6群に分けた. I群(n=7):12℃, 非酸素加, II群(n=7):12℃, 100%酸素加. III群(n=7):12℃, 95%O2+5%CO2加(以下95%酸素加). IV群(n=7):22℃, 非酸素加. V群(n=7):22℃, 100%酸素加. VI群(n=7):22℃, 95%酸素加. ST液のpHは非酸素加群では7.9~8.2であるのに対して100%酸素加群では8.7~8.9, 95%酸素加群では7.1~7.4とそれぞれ変動した. ST液を30分ごと, 5分間, 80cmH2Oで注入し, 180分間の大動脈遮断実験を行った. 本実験では心停止をhypothermic arrestとし, 再灌流は低温, 低流量とした. 大動脈流量の回復率は, 100%酸素加したII, V群でそれぞれ46.5±19.3%, 48.2±13.8%と不良になるのに対し, 95%酸素加したIII, VI群ではそれぞれ79.3±10.3%, 69.7±8.2%と100%酸素加群に比し有意に回復率は良好であった. I, III, VI群間には有意差は認められなかった. 冠灌流量の回復率はIII群が91.1±9.3%と他群に比し有意に良好であった. ST液を95%酸素加することによって, 虚血心筋温22℃においても, 心筋温12℃, 非酸素加群と同等の回復率を示した. |