アブストラクト(39巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : アルゴンレーザーを用いた冠動脈形成術に関する実験的研究
Subtitle :
Authors : 辻義彦, 岡田昌義, 吉田正人, 中村和夫
Authors(kana) :
Organization : 神戸大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 2
Page : 154-163
Year/Month : 1991 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : アルゴンレーザーを用いた冠動脈形成術の手技を確立すべく, 有効かつ安全なレーザー照射方法について検討を加えた. アルゴンレーザーを血管内に伝達するレーザープローブとしてbare-ended probe(以下BEP)と1.5mm径metal tip probe(以下MTP)を用いた. まずヒト屍体より得た動脈に対してレーザー照射を行い, 動脈壁のレーザーに対する反応を組織学的に検討した. その結果, BEPでは1~5J, MTPでは10~20J(5~10W, 2秒)を一単位として反復照射を行うのが有効, かつ安全であるとの結論を得た. これに基づいて生犬の冠動脈にレーザー照射を施行し, 血行動態的変化を観察したところ, BEPでは1~5Jでも穿孔が散見されたのに対して, MTPでは10~20Jの範囲内の照射であれば重篤な不整脈, 穿孔及び冠動脈攣縮の発生を認めることなく安全に照射し得た. しかし冠動脈径に比してmetal tipの径が過大すぎると冠動脈の熱収縮が原因と考えられる一過性の末梢冠動脈圧の低下が認められた. そこで生犬の末梢動脈及び冠動脈において種々の条件下でMTPを用いてレーザー照射を行い, 血管収縮の発生状況を検討した. その結果, MTP径/血管径比が0.7以下であれば熱による血管収縮の発生が出現しないことが判明した. 更にこれらの基礎的研究に基づいて経皮的冠動脈内レーザー照射を実験的に試み, 上記の条件下であれば安全に照射し得ること, またレーザー照射部は良好に治癒することを確認した. 以上より今後アルゴンレーザーを用いた冠動脈形成術の臨床応用は可能であることが示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : アルゴンレーザー, 冠動脈硬化性病変, レーザー血管形成術, 冠動脈形成術
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