アブストラクト(39巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 両心補助人工心臓におけるポンプ流量比から見た至適駆動方法に関する実験的検討
Subtitle :
Authors : 奥村晴彦, 瀬在幸安
Authors(kana) :
Organization : 日本大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 2
Page : 174-182
Year/Month : 1991 / 2
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 重症両心不全に対する補助循環法としてBiventricular Assist Device(BVAD)が適用されることは少なく, その成績も満足いくものではない. これは複雑な循環動態を有するBVADの適応時期, 駆動方法, 制御方法などが確立されていないことが一因と思われる. 今回著者はブタの両心不全モデルに対してBVADを適用し, BVADの左右のポンプ流量をI群をRVADのポンプ流量:LVADのポンプ流量=1:<0.5, II群を1:0.5≦<1, III群を1:1≦, に分け, 血行動態的変化から各群の心機能や全身循環に対する影響を評価し, BVADの至適駆動方法を検討した. 各群においてCVP, RVEDPは低下傾向を示し, 右室前負荷軽減効果が認められた. I群ではPCWP, LVEDPの上昇, AoP, LVmax dp/dtの低下を認めた. これはRVADにより十分な左房還流が得られてもLVADの流量が少ない場合には, これを受ける左室の機能の限界を越え, 左心不全が増悪したためであり, 全身循環を維持することは困難であると思われた. II群, III群ではPCWP, LVEDPの低下, AoP, LVmax dp/dtの上昇を認めた. これはLVADの流量が十分であったために左室前負荷の軽減により左心不全が改善されたためと思われた. この傾向は特にIII群で強く認められた. この結果より右室前負荷が十分に軽減されている場合は左室前負荷も軽減できるだけのLVADの流量を得ることが駆動条件において必要であると思われた. 臨床の場において駆動条件を制御する指標として左右の心室の前負荷を表すCVP及びPCWPに注目し, 各群のPCWP/CVPを計算したところ最も循環補助効果が良好であったIII群においてI群, II群に比し有意に低値を示した. これはBVADの駆動条件を制御する上でPCWP/CVPの値でポンプ流量を増減することは有用であることを示唆している.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : BVAD, ポンプ流量, 駆動方法, PCWP/CVP
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