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心臓悪液質（Cardiac Cachexia, C.C）を伴った開心術患者7例を, 非C.C群43例と比較し, 手術前後の栄養評価を試みた. C.C群は標準体重の85%以下, NYHA III度以上とした. C.C群の術前の身体評価値は%皮下脂肪厚（%TSF）が正常値の61.5%と著明に低下, %上腕筋囲（%AMC）も正常値の86.1%と低下していた. 細胞性免疫ではリンパ球数, ツベルクリン反応で有意の差を認めなかった. 術前のC.C群と非C.C群の循環血液量は105±18.7及び81.1±13.5ml/kg, 安静時エネルギー消費量は27.7±2.4及び24.1±4.3kcal/kg/日で, 両者ともにC.C群が有意に高値を示した. また循環血流量, 安静時エネルギー消費量間に有意の相関を認めた. C.C群におけるエネルギー消費量は術後1週で33.6±9.8kcal/kg/日に増加した. 蛋白代謝は総蛋白, アルブミン, rapid turnover proteinに有意の差を認めなかったが, 循環血液量と, 体重で補正した体重あたりの蛋白総量は, C.C群が有意に高値であった. 尿中3-メチルヒスチジン排泄量は両群間に差はなく, 総窒素排泄量は術後1日, 3日で非C.C群が高値を示した. 血清コルチゾールは術後C.C群で高く, インシュリン, グルカゴンはC.C群で低い傾向を示したが, 有意の差はなかった. 以上より, 循環血流量の増大と代謝の亢進が, エネルギー消費の増大をもたらし食事制限と共に心臓悪液質の発現に寄与していると考えられた. |
