アブストラクト(39巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 著明なカテコラミン内分泌活性を有し, 131I-MIBGスキャン陽性像を呈した, 縦隔原発小児神経節細胞腫の1手術例
Subtitle : 症例
Authors : 吉澤潔, 福本泰三, 堀隆樹, 三浦一真, 森田純二
Authors(kana) :
Organization : 高松赤十字病院呼吸器外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 2
Page : 204-208
Year/Month : 1991 / 2
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は6歳, 女児である. 学校検診にて心電図上の不整脈を指摘され, 精査のため本院小児科を受診した. 胸部X線撮影にて左上肺野のほぼ全体を占める腫瘤陰影を指摘された. 術前検査にて血中, 尿中カテコラミンの明らかな上昇と共に, 131I-MIBGシンチグラフィーにて胸部X線上の腫瘤陰影に一致する陽性像を得た. 縦隔原発神経原性悪性腫瘍を疑ったが, 経皮針生検では良性の神経節細胞腫であった. 開胸手術を施行し, 腫瘍の全摘出を行った. 摘出腫瘍の詳細な病理組織学的検索でも神経節細胞腫のみであった. 尿中VMAをはじめとするカテコラミン分泌能, 131I-MIBGシンチグラフィー の陽性所見は, 共に交感神経系由来悪性腫瘍の有力な診断策として利用されているが, 良性の神経節細胞腫でも陽性となり得るため, 治療の選択を行う上で, 生検にて組織型を確認するなどの十分な注意を要すると考えられた. 神経節細胞腫は神経芽腫瘍の中では組織学的に最も分化型の良性腫瘍であり, より未分化な神経芽細胞腫との鑑別を要する. 神経芽細胞腫のほとんどの例にカテコラミン内分泌活性が認められ, 近年ではその画像診断にI-131-MIBGスキャンが有用であるとされている.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 縦隔原発神経節細胞腫, カテコラミン, 131I-MIBG
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