アブストラクト(39巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術後紅皮症の2例-臨床及び剖検所見からの検討-
Subtitle : 症例
Authors : 岩隈昭夫, 松吉哲二, 有門卓, 鬼村修太郎, 木村道生, 浅尾学
Authors(kana) :
Organization : 福岡大学医学部心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 2
Page : 209-213
Year/Month : 1991 / 2
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 2例の開心術後の輸血によるGVHD様症候群と思われた術後紅皮症を報告する. 1例は急性心筋梗塞に伴う心室中隔穿孔閉鎖術後の74歳の女性, 他の1例はA-Cバイパス術後の67歳の女性であった. 2例とも突然の発熱, 全身性発疹, 肝機能障害, 白血球減少, 血小板減少を来し, 術後21日目及び術後15日目に死亡した. 剖検所見では, 2例とも表皮の基底細胞または有棘細胞に一致して好酸性壊死が見られ, 真皮上層に広範囲にT細胞と単球の浸潤を認め, 特に血管周囲に強かった. 更に, 食道粘膜にも皮膚同様の細胞浸潤及び好酸性壊死を認めた. 多種の免疫グロブリン陽性細胞を2例の真皮及び食道粘膜に認めたが, 病変に2次感染が存在した可能性があり, GVHD様症候群に特徴的かどうかははっきりしなかった. 術後紅皮症は, 致命率の高い重篤な合併症である. 最近では, 大量輸血後の移植片対宿主反応による病態(Graft-Versus-Host disease;GVHD)が原因と考えられているものの, いまだに有効な治療法は確立されていない.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 術後紅皮症, 好酸性壊死, GVHD様症候群, T細胞
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