アブストラクト(39巻2号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 甲状腺癌の心臓転移に対する1手術例
Subtitle : 症例
Authors : 村田眞司, 小林彰, 中島博之
Authors(kana) :
Organization : 三菱京都病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 2
Page : 219-223
Year/Month : 1991 / 2
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 甲状腺癌が心腔内に転移した1症例を経験した. 症例は, 73歳女性で, 早朝突然胸部痛・呼吸困難及び眩暈を自覚し, 近医に緊急入院した. 肺血流シンチにて両側性多発性肺塞栓症と診断された. しかし, 心エコー図検査では, 三尖弁を中心に右心房と右心室との間を動く腫瘤が認められたため, 粘液腫とそれに続発した肺塞栓症の疑いで本院を紹介された. そこで準緊急的に右心房を切開すると, 三尖弁の右心室側前尖にカエルの卵に似たゼリー状の腫瘤が三尖弁口を中心にブランコ状に付着していた. 肉眼的には取り残すことなく摘除しえたが組織診断結果は, clear cell carcinomaであったため, 肺動脈内塞栓には手術侵襲は加えなかった. 術後改めて原発巣を超音波・CTなどで精査したところ, 甲状腺癌と判明した. 本症例は甲状腺癌が血行性に三尖弁前尖の右心室側に転移増殖し, その一部が遊離して肺梗塞を繰り返したものと考えられ, 国内外でも報告例が極めて少ないまれなタイプのものである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 悪性転移性心臓腫瘍, 甲状腺癌, 三尖弁転移, clear cell carcinoma, 転移性心臓腫瘍の手術
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