アブストラクト(39巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 遊離広背筋移植による左室部分補助に関する実験的研究
Subtitle :
Authors : 森田紀代造, 小柳勝司, 坂本吉正, 若林研司, 田中圭, 佐々木達海, 堀越茂樹, 松井道彦, 新井達太
Authors(kana) :
Organization : 東京慈恵会医科大学心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 3
Page : 266-275
Year/Month : 1991 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 電気的トレーニングにより疲労抵抗性を獲得した, 遊離血行再建後の広背筋グラフトによる左室部分補助の可能性を実験的に検討した. 成犬8頭(体重14.3±5.3kg)を対象に埋め込み型ペースメーカーにより4週間の電気的トレーニングを施行した後に広背筋を遊離, 血行再建し左室前壁梗塞部にon-layで移植, 心拍同期で駆動した. グラフト非駆動時梗塞部左室壁動態はdyskinesiaを呈しsonomicrometryによる局所短縮率(%shortening:%S):-9.5±3.6%であったのに対し25Hz刺激時:+3.9±1.9%(p<0.01), 50Hz刺激時:+5.5±1.9%(p<0.01)とグラフト駆動に一致した梗塞心筋の受動的短縮を示し, 有意の局所壁動態の改善を認めた. 心エコー上も駆動時のグラフト壁厚増加と共に梗塞部心室壁の内腔への突出を示した. 左室収縮期圧は非駆動時:74±14mmHgに対して25Hz刺激時:78±15mmHg(p<0.01), 50Hz刺激時:83±15mmHg(p<0.01)また最大大動脈血流量は非駆動時に対して25Hz刺激時:116±7%(p<0.01), 50Hz刺激時:130±6%(p<0.01)増加し, 有意の左心機能補助効果を示した. 再建した胸背動脈血流は心収縮期グラフト駆動により拡張期優位に変化したが, 平均血流量(1:1同期駆動時)36±4ml/min/100gを示した. 以上により遊離広背筋グラフトの左室dyskinetic segmentへのon-lay移植により局所左室壁動態の改善, 左心機能補助が得られ, 心収縮期グラフト駆動においても十分な広背筋血行が維持されうることが示された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 遊離広背筋グラフト, 左室補助, 骨格筋移植, 電気的トレーニング, 局所心機能
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