アブストラクト(39巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 人工心肺使用患者におけるリムルス陽性物質の検討-第2報-回路洗浄前後の比較-
Subtitle :
Authors : 富安重雄, 坂西信映, 天野純*, 吉田哲哉*, 丸山俊之*, 角田幸雄, 鈴木章夫*
Authors(kana) :
Organization : 東京医科歯科大学医学部ICU, *東京医科歯科大学医学部胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 3
Page : 311-314
Year/Month : 1991 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 人工心肺体外循環(以下CPB)の非洗浄回路使用例において, 術後数日間, 血液及び尿中にリムルス反応陽性が高率に出現し, また, 充填液中に異物が存在することを本誌37巻12号にて報告した. 今回, 人工心肺洗浄後(n=54)のリムルス陽性物質及び異物を検索し, 非洗浄群(n=41)と比較検討した. 更に, リムルス陽性物質の本体を解明する目的で, 回路滅菌に使用しているエチレンオキサイド(EO)についても検討を加えた. リムルス反応は, CPB開始前の患者血液を対照値としたが, 全例陰性であった. 患者は洗浄群・非洗浄群とも年齢, バイパス時間等すべて有意差は認められなかった. リムルス反応は洗浄により陰性化はしなかったが, 非洗浄群に比し有意な減少を認めた. 特に第2病日血液では非洗浄群で約60%の出現率であったが, 洗浄群では10%と著明(p<0.01)に減少し, 洗浄群の尿は第1病日で全例陰性化した. 充填液中の50μm以上の異物数は, 非洗浄群で約40個/ml認められ, 洗浄時フィルターの使用により1~3個/mlと減少し, 洗浄フィルターサイズがより小さいほど有効であった. EOの影響については, EOから生成されるEOG・ECH・EGの3種類を検討したが, そのいずれもが陰性であり, 人工心肺から出現するリムルス陽性物質は, EOよりの生成物質そのものとは無関係であることが明らかとなった. 従って, リムルス陽性物質の本体は依然として不明であり, 今後可塑剤など他の因子について検討する必要がある.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 人工心肺, リムルス陽性物質, 人工心肺回路内異物, エチレンオキサイド, 洗浄フィルター
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