アブストラクト(39巻3号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : A-Cバイパス術後グラフト血流に及ぼす心臓ペーシングの影響-心室ならびに心房ペーシングの比較-
Subtitle :
Authors : 吉田浩, 藤原巍
Authors(kana) :
Organization : 川崎医科大学心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 3
Page : 315-321
Year/Month : 1991 / 3
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 冠動脈バイパス術後, 閉胸前に心房及び心室ペーシング負荷を行った症例(20例26グラフト)を対象とし, 自家静脈グラフトの分時血流量を計測, グラフト血流波形を心電図, 体血圧, 心拍出量と同時に記録, 解析し, 心臓ペーシングの血行動態並びにグラフト血流動態に及ぼす影響について検討した. 心室ペーシングでは, 収縮期血圧は自己心拍(96±8/min)に比し, 最少ペーシング心拍(101±9/min)で17%, ペーシング数120, 140でもそれぞれ17%, 21%と有意の低下をみ(p<0.01), 心拍出量も有意の減少を見た(p<0.01). グラフト流量も自己心拍86±22ml/minから最少ペーシング心拍, 120, 140でそれぞれ73±20, 75±21, 74±23ml/minと減少(p<0.01)し, このグラフト流量の減少は拡張期流量の減少によるもので(p<0.01), 収縮期流量には変化を見なかった. 心房ペーシングでは, 自己心拍(96±8/min), ペーシング数120, 140と変化させても, 血圧, 心拍出量には有意な変化はなく, グラフト流量は自己心拍時に86±21ml/min, ペーシング数120, 140で93±24, 95±26ml/min(p<0.01)と増加した. このグラフト流量の増加は, 拡張期流量の増加によるもので(p<0.05)収縮期流量には変化を見なかった. 心筋梗塞既往例, 非梗塞例に分け心室ペーシングの影響を見た. 梗塞既往例は非梗塞例と比べて循環動態, グラフト流量, 特に拡張期グラフト流量の著しい減少がみられた(p<0.01). 心房ペーシングはグラフト血流動態においても拡張期優位の血流波形を呈し, 心室ペーシングと比較してその有用性が示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 冠動脈バイパス術, 心臓ペーシング, グラフト流量
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