| Abstract ： |
重症筋無力症に対する胸腺摘出術施行51例のうちOssermann I型を除外した47例を用いて, 胸摘後の機械的人工呼吸の必要性に関する統計的検索を, 19項目について行った. 麻酔用気管チューブの術後抜管に関する検討も同時に行った. その結果, 術後呼吸管理の必要性に関連する因子は, 球症状・術前クリーゼ・%肺活量・抗コリンエステラーゼ剤（以下抗コ剤）などであった. 性別・年齢・病悩期間・胸腺腫有無・肺活量・麻酔法・筋弛緩剤・術後硬膜外鎮痛剤投与などは関連しないと思われた. 術後に機械的人工呼吸を必要とする症例の予後は, 不要例との寛解率の比較で有意差はないが, 改善率まで加算した有効率の比較では不要群が有意に高かった. MGに対する胸摘術後における, 呼吸管理必要性の予測に関する2つのスコアシステムを追試した. その結果, Leventhalのシステムを用いた人工呼吸必要性の予測では, sensitivity 20.0%, specificity 62.5%, accuracy 52.4%で, 同じく抜管遅延必要性の予測では, sensitivity 29.4%, specificity 64.0%, accuracy 50.0%であった. 球症状・術前クリーゼ・%肺活量などの評価項目の追加や, 病悩期間・抗コ剤の評価比重の軽減がfalse positive casesやfalse negative casesを減少させると思われた. 木村らのシステムを用いた人工呼吸の予測では, sensitivity 81.8%, specificity 70.6%, accuracy 73.3%で, 同じく抜管遅延の予測では, sensitivity 68.4%, specificity 76.9%, accuracy 73.3%であった. 統計的に球症状とクリーゼを併せた評価比重の高い傾向が伺われた. しかしLeventhalのシステムに比較して予測能力は高く, sensitivity, accuracyで統計的有意差を認めた（0.01＜p＜0.05）. |
