アブストラクト(39巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 膜型肺を用いた無輸血開心術の検討-限外濾過併用の有効性について-
Subtitle :
Authors : 田村謙二, 友国隆, 松若良介*, 加藤寛**
Authors(kana) :
Organization : 国家公務員等共済組合連合会大手前病院心臓外科, *大阪大学医学部第1外科, **大阪府立母子保健総合医療センター心臓外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 4
Page : 404-408
Year/Month : 1991 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 当科での膜型肺を用いた無輸血開心術の試みにおける限外濾過併用の有効性について検討した. 無輸血手術を試みた1983年12月から87年2月までの内部灌流hollow fiber型肺使用, 限外濾過非施行のASD手術6例(I群;年齢18±2(平均±標準偏差)歳, 体重53±6kg, ECC 77±24分)と87年3月から88年9月までの積層油膜型肺CML(R)又はVPCML(R)(CML/VPCML)使用, 限外濾過準備の開心術11例(II群;年齢34±20歳, 体重52±12kg, ECC 112±54分)を対象とした. II群の疾患はASD4, VSD1, MS/MR4(MVR2), AR2(AVR2)であり, 内9例で限外濾過を実施した. 無輸血手術の成功率はI群は1例17%, II群は9例82%で, II群で有意(p<0.05)に高率であった. II群の無輸血開心術9例におけるヘマトクリット値は, 術前値40±2%, ECC中最低値19±3%, 術直後値33±4%, 術後最低値29±3%であった. 術中出血量はI群1013±586ml, II群659±388ml. 術後出血量はI群696±283ml, II群478±284mlであった. II群中の無輸血開心術9例の術後出血量は387±215mlであり, I群に比し有意(p<0.05)に少量であった. 術後1日目の血小板残存率はI群40±16%, II群57±11%であり, II群で有意(p<0.05)に高値であった. 以上より, CML/VPCMLの使用と限外濾過の併用は“膜型肺を用いた無輸血開心術”の遂行に有用であることが示唆された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 無輸血開心術, 膜型肺, 限外濾過, 血小板
このページの一番上へ