アブストラクト(39巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 単心室症におけるFontan手術前後の循環動態と心室機能-心カテーテル検査成績, 心室造影所見からの検討-
Subtitle :
Authors : 青木満, 今井康晴, 黒澤博身, 藤原直, 澤渡和男, 河田政明, 松尾浩三, 高英成
Authors(kana) :
Organization : 東京女子医科大学日本心臓血圧研究所循環器小児外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 4
Page : 413-418
Year/Month : 1991 / 4
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : Fontan手術を施行した房室弁逆流のない左室性単心室(SLV)9例(年齢6~22歳, 平均13歳), 右室性単心室(SRV)13例(年齢6~17, 平均9歳)を対象に, 心室機能の指標である心室拡張末期圧(EDP), 拡張末期容積(EDV, 正常期待値に対する%にて評価), 駆出率(EF), 心拍出量と, 手術成績, 術後状態との関連を検討した. 術前EF≧60%の症例はSLV:44%, SRV:23%に過ぎなかった. 病院死亡はSLV, SRV各2例で, 死亡原因が心室機能低下と思われる症例はなかった. 生存例で, EFはSLVが63±7から43±13%へ, SRVが55±7から47±9%へと術後有意に低下したが, 術後のEDPは低く術前後でSLV:12.7±2.7から6.6±1.9mmHg, SRV:10.4±2.6から5.5±2.4mmHgへと有意に低下した. EDVも術後有意に減少し, SLVで185±35から126±58%, SRVで173±28から99±18%となった. 術後心係数はSLV:2.6±0.7, SRV:2.5±0.7(l/min・m2)で, 術前の心室拍出量である肺血流係数と体血流係数の和(SLV:8.0±4.1, SRV:8.3±1.4l/min・m2)に比べ有意に減少した. すなわち, 術前のvolume overload, high outputな状態から術後はvolume load軽減と共に心拍出量が減少した. 各指標ともSLV, SRV間に有意差はなかった. 術後心係数は肺血管抵抗が低い症例で高い傾向にあったが, 術後EFとは関連がなかった. 従って, EFから見た単心室症の心室機能は低下していたが, Fontan手術は心室容量負荷を軽減し術後にEDPも低下したことから, 肺循環因子がよければSLV, SRVを問わず良好な成績が期待できると思われた. Fontan手術適応上の心室機能の限界は, EFのみでなく術後のEDPを規定する術前EDP, 肺・体血流比, 心室拡張機能などから総合的に判断すべきである.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 単心室症, Fontan手術, 心室機能
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