アブストラクト(39巻4号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺癌化学療法後に発症した食道胸膜瘻の1手術治験例
Subtitle : 症例
Authors : 榎堀徹, 桂敦史, 渡辺喜一郎*, 加藤弘文**, 森渥視**
Authors(kana) :
Organization : 洛和会音羽病院呼吸器外科, *洛和会音羽病院外科, **滋賀医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 4
Page : 485-491
Year/Month : 1991 / 4
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺癌の化学療法後に発症した食道胸膜瘻に対し, 2回にわたる手術を行い救命し得た症例を経験した. 症例は72歳, 女性. 呼吸困難にて入院し, 肺小細胞癌と診断された. 縦隔浸潤, 食道狭窄を来しており, 化学療法(CDDP, VP16, EDX)を行った. 化学療法後, 完全緩解を得たが, 腫瘍の壊死による食道胸膜瘻を発症した. 胸腔ドレナージ後, 瘻孔閉鎖の目的で食道内チューブ挿管術を行った. しかしチューブが膿胸腔内に逸脱し, やむをえず食道再建術を行った. 食道及び瘻孔は切除不可能であり, 膿胸腔にドレーンを挿入して閉胸した. 膿胸腔は, ポピドンヨード及びアルコールで洗浄することによりに浄化され, 術後約3ヵ月でドレーンを抜去することができた. 肺癌に合併した食道胸膜瘻に対しても, 肺癌が化学療法により完全緩解にある場合は, 食道再建術を考慮すべきである. 食道胸膜瘻は種々の原因による食道破裂により発症するものが報告されているが1)~6), 肺癌や食道癌など悪性腫瘍に合併する食道胸膜瘻の報告例は少なく7)~10), 化学療法後に発症した本症の報告例は, 検索し得たかぎりでは自験例が最初の報告例であると思われる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺癌, 食道胸膜瘻, 膿胸, 化学療法, 食道再建術
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