アブストラクト(39巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 逆行性冠灌流法における冠静脈洞内灌流圧モニターの意義
Subtitle :
Authors : 樋上哲哉, 小川恭一, 麻田達郎, 向原伸彦, 西脇正美
Authors(kana) :
Organization : 兵庫県立姫路循環器病センター心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 6
Page : 848-854
Year/Month : 1991 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 成人開心術症例214例において, 逆行性冠灌流時の冠静脈洞内灌流圧(CS圧)モニターの意義について検討した. Crystalloid cardioplegia(CCP)を250ml/minの速度でポンプ注入した場合, 平均CS圧は29.4±9.1mmHgであり, 心エコー法より求めた左室心筋重量(LVMW)と有意な負の相関を示した(p<0.001). 40mmHgを越える高灌流圧を示した例は24例(11.2%)で, その原因は, Retro-Hgカテーテルの位置異常によると思われるものが16例, 過小LVMWによる相対的過剰灌流量によるものが8例であったが, 全例, 即座の適切な処置により冠静脈損傷を来すことなく正常圧に復した. 一方, 低圧を示した28例(13.0%)のうち, その多くはカテーテルの滑脱もしくは固定不良によるものであり, その圧はおおむね20mmHg未満であった. Cold blood cardioplegia(CBCP)を落差による持続灌流とした場合, その平均CS圧は9.2±2.6mmHgであり, これはカテーテルの滑脱などによるCBCP注入不良の早期発見に極めて有用であった. 以上より, ポンプ注入時におけるCS圧モニターの意義は, 冠静脈損傷を未然に防ぎ得ることのみならず, Retro-Hgカテーテルの位置異常及び固定性を確認できることにあり, また, 持続落差注入時においては, CBCPが確実に適正灌流されているか否かをreal timeに監視できることにあると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 心筋保護, 逆行性冠灌流法, 冠静脈洞内灌流圧, 冠静脈損傷, Retor-Hg catheter
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