アブストラクト(39巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺癌肺摘除術及び肺葉切除術後の循環動態の変化から見た一側肺動脈閉塞試験の再評価
Subtitle :
Authors : 大石明雄, 矢内康一, 斎藤拓朗, 管野隆三, 木暮道彦, 竹重俊幸, 寺西寧, 薄場彰, 井上仁, 元木良一
Authors(kana) :
Organization : 福島県立医科大学第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 6
Page : 855-861
Year/Month : 1991 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺葉切除術の術側残存肺では, 絶対的肺血管床減少に加え機能的肺血管床減少が生じることから, 一側肺動脈閉塞(UPAO)試験で手術適応を決める際は, 肺葉切除術も肺摘除術も同一に評価されている. そこで, 肺癌肺摘除術(14例)と肺葉切除術(13例)における循環動態因子の変化を比較し, 術式別に, 適応基準の妥当性を再検討した. 肺摘除術後の平均肺動脈楔入圧(mPWP)は, 術前とUPAO試験時に比較し有意に低下した. この変化は, hypovolenmic変化によるものと思われた. 肺摘除術後の肺小動脈血管抵抗指数(PARI)は, UPAO試験時と同様に上昇した. UPAO試験時の全肺血管抵抗指数(TPVRI)は術前に比較し有意に上昇したが, 術後は術前に比較して有意の上昇ではなかった. UPAO試験で肺切除限界と評価される症例の中にも手術可能な症例が含まれる可能性が指摘された. 肺葉切除術当日のPARIは, 術前に比較し有意に上昇したが, UPAO試験時と比較すると有意に低下した. 心係数(CI)は術前に比較し有意に上昇し, mPWPは有意に低下した. 術当日はhyperdynamicな変化が生じたものと思われた. 第2病日のPARIは更に低下した. CIは, 術当日と同様に上昇していたが, mPWPは術当日に比較し有意に上昇した. これらの変化は, 新たにhypervolemicな変化が生じたことを示した. TPVRIは, UPAO試験時に比較して有意に低く, 術前と差がなかった. UPAO試験時と術後のTPVRIの平均値の差はおよそ140dyne. sec. cm-5/M2であった. 肺葉切除術のTPVRIの基準値を正確に設定することはできないが, 上に挙げた数値は, 肺葉切除限界を設定する際の1つの目安になるのではないかと思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺葉切除術, 肺摘除術, 一側肺動脈閉塞試験, 手術適応基準, 循環動態
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