| Abstract ： |
Omniscience弁を62例に71個, Omnicarbon弁を95例に108個使用し, 術後のNYHA心機能分類, 合併症, 人工弁開放角を調査した. Omniscience弁使用群（O-S群）は平均年齢50±10歳で, 男性29例, 女性33例であり, 大動脈弁置換術（AVR）は28例, 僧帽弁置換術（MVR）25例, 大動脈弁兼僧帽弁置換術（DVR）9例であった. また, Omnicarbon弁使用群（O-C群）は平均年齢53±12歳で, 男性53例, 女性42例であった. この内, AVRは58例, MVRは24例, DVRは13例であった. 術後の平均観察期間はO-S群で77±33ヵ月, O-C群で25±20ヵ月であった. NYHA分類ではO-S群で術前NYHA III, IVの症例は73.9%であったが, 術後は96.7%の症例がNYHA I, IIに改善し, O-C群でも術前NYHA III, IVの症例が81.1%であったが, 術後は98.9%の症例がNYHA I, IIに改善した. 術後合併症はO-S群では, AVRに9例, MVRに3例, DVRに3例見られ, それぞれの1患者年（Pt.y）あたりの発生率は, 5.9%, 1.7%, 5.4%であった. また, 心臓死はAVRに4例（2.5%/Pt.y）, MVRに1例（0.6%/Pt.y）, DVRに2例（3.6%/Pt.y）であり, 人工弁関連の合併症は, AVRで1例（0.6%/Pt.y）, MVRで1例（1.1%/Pt.y）, DVRで1例（1.8%/Pt.y）, 脳出血は, AVRにのみ3例（3.2%/Pt.y）見られた. O-C群では, AVRに4例（2.6%/Pt.y）, MVRに3例（12.2%/Pt.y）の術後合併症がみられ, DVRには見られなかった. この内, 心臓死はAVRで1例（0.7%/Pt.y）, MVRで2例（8.1%/Pt.y）であり, 人工弁関連合併症は, AVRに1例（0.7%/Pt.y）, MVRに1例（4.1%/Pt.y）, 脳出血はAVRにのみ1例（0.7%/Po.y）見られた. 術後の人工弁開放角は, O-S群では大動脈弁位で39.1±4.5°, 僧帽弁位で44.6±7.7°, O-C群では, 大動脈弁位で60.0±8.9°, 僧帽弁位で54.1±6.6°であった. 以上からOminiscience弁, Omnicarbon弁ともに術後成績は良好で, 血栓塞栓症の発生率も高くなく, 優れた人工弁と考えられた. しかしながら, 術後の人工弁開放角が必ずしも十分とはいえないものの, 臨床症状はなく, この点を今後, 症例を重ねた上, 検討したい. |
