アブストラクト(39巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 上行大動脈基部疾患の手術とその遠隔成績
Subtitle :
Authors : 堀見博之, 長谷川嗣夫, 加藤盛人, 福島鼎, 三澤吉雄
Authors(kana) :
Organization : 自治医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 6
Page : 901-909
Year/Month : 1991 / 6
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 上行大動脈基部の病変では, 大動脈, 大動脈弁, 冠動脈のそれぞれに手術操作を加える場合が多く, 冠動脈の処置には種々の方法が試みられている. Annulo-aortic ectasia(AAE)13例, 解離性大動脈瘤(I, II型)3例, 弁上部大動脈狭窄1例, の計17例を対象として, 手術術式とその予後を検討した, AAEでは, 術前に左室の拡張末期径(LVDd)69.0±10mm, 収縮末期径(LVDs)52±44mmと拡張が見られ, fractional shortening(FS)25±11%, 駆出率(EF)55±20%であった. Bentall手術を11回, Cabrol手術を3回(1回はBentall術後の再手術)行った. 再手術の1例はBentall手術(Cabrol trick造設)後4年で, 左冠動脈縫合不全からCabrol trickが再開通して心不全を来したもので, Cabrol手術を行った. 手術死は急性心筋梗塞による1例であった. 急性解離性大動脈瘤は, I型2例, II型1例で, 2例で右冠動脈, 1例で左冠動脈の解離を伴っていた. 3例とも大動脈弁置換, 上行大動脈再建後, 大伏在静脈を用いて大動脈―冠動脈バイパスを行った. 弁上部大動脈狭窄の1例では, 右冠動脈口の狭窄があり, 大動脈弁置換, extended aortoplasty, と冠動脈口拡大形成を行った. AAEの術後遠隔期で, 2例(7年, 6ヵ月)が心不全のため死亡したが, 他は最長11年間健在である. また, 左室径はLVDd 49±10mm, LVDs 36±12mmと有意に縮小したが, 収縮能はFS28±11%, EF60±19%と改善傾向は見られるものの, 有意ではなかった. 解離性大動脈瘤は, いずれも術後最長6年間健在である. 弁上部大動脈狭窄の1例は, 術後11ヵ月で急死した. Bentall法, Cabrol法ともに優れた手術法であり, Cabrol trickも1例で遠隔期に有用であった.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : Annuloaortic ectasia, 解離, Bentall手術, Cabrol手術
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