アブストラクト(39巻6号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 若年者の巨大浸潤型胸腺腫に術前のシスプラチン動注が著効を示した1手術治験例
Subtitle : 症例
Authors : 向井友一郎*, 安岡俊介, 寺師弘泰, 坪田紀明**
Authors(kana) :
Organization : 六甲病院外科, **兵庫県立成人病センター胸部外科, *神戸大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 6
Page : 956-961
Year/Month : 1991 / 6
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 症例は上大静脈症候群を主訴とする21歳の男性である. 胸部X線写真にて上縦隔に腫瘍が認められCT下針生検で胸腺腫と診断された. 腫瘍が巨大で, 且つ周囲への浸潤が高度なため, まず内胸動脈より, シスプラチン(以下CDDPと略す)の動注(100mg×2回)を試みたところ, 著明な腫瘍の縮小が見られたため手術を行った. 腫瘍は大人手拳大で心嚢, 肺, 左腕頭静脈, 上大静脈に浸潤していたが, これらの合併切除と血行再建にて腫瘍の全切除を行った. 切除標本の検索では, すべて壊死組織であり, 生検にて認められた腫瘍成分は認めなかった. 術後3年経過した現在再発の兆候は認められない. 一期的な切除が困難な浸潤型胸腺腫に対するCDDP術前単独動注療法は, 今後用いられるべき方法であると思われた. 浸潤型胸腺腫に対する積極的な外科療法は, 近年盛んに行われるようになり, 切除率と予後の改善に大きく貢献してきた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 浸潤型胸腺腫, シスプラチン, 動注療法, 血行再建術
このページの一番上へ