Abstract : |
透析患者においては徐脈性不整脈の発生が高率であり, また, 近年の透析患者数の増加に伴い, これら透析患者に対してペースメーカー(PM)治療を行う機会が増加するものと考えられる. われわれは現在までに4例の透析患者にPM植込みを行ったので, これら症例を検討し, PM治療における透析患者の有する特殊性や問題点に関して考察を加えた. PM植込み適応は, 洞不全症候群3例と房室ブロック1例であり, 2例で, 透析中に徐脈の増悪を認めていた. 透析時の心負荷増大を考え, 全例に生理的ペーシングを施行した. 植込み手術時は, 十分な止血と清潔操作に留意し, 創血腫, 感染等の術後合併症は認めず, 全例極めて順調に経過した. 植込み時及び術後22~41ヵ月(平均33ヵ月)の遠隔期におけるペーシング特性は一般患者と変わるところなく良好であったが, 透析中, 血清カリウム濃度の著明な低下が原因と考えられる心房刺激閾値の上昇が2例に認められた. 透析患者に対するPM治療は, おおむね一般患者に対する場合と同様に考えて良いと思われるが, 出血傾向や易感染性への注意と同時に, 透析中の刺激閾値上昇に十分注意する必要がある. |