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長時間単純浸漬保存心に対する再灌流調節の一法として, 独自にCollins blood diluting reperfusion（CBDR）法を開発した. 本法は, 4℃modified Collins保存液（MC液）に酸素加体外循環血を加温しつつ徐々に付加したものを再灌流液として用い, 最終的に血液に置換することで, 心筋温と再灌流液温及び保存液と再灌流液組成における較差を廃し, 且つ, 再灌流初期に低Ca2＋濃度のblood cardioplegiaとして機能させることを意図したものである. 24時間MC液内で低温保存した雑種成犬心を対象とし, ex vivoの再灌流装置下で左室内バルーンを用いた圧―容量関係と心筋内高リン酸化合物含量を指標として, unmodified blood reperfusion（I群：n＝7）と, CBDR法（II群：n＝10）を比較, 検討した. 左室心筋complianceは, I群で再灌流後著明に低下し, 保存終了時のresting tensionの54.0%を示したのに反し, II群は83.7%と高値を維持し, 両群間に有意差（p＜0.05）を認めた, この心筋拘縮における差は直接左室機能に反映し, II群で有意に高い収縮・拡張能を示した. 心筋内ATP含量は, 保存終了時点でcontrol値の30%まで枯渇したが, CBDR終了時52.0%, 血液再灌流60分で57.9%まで増加し, 41.2%controlに留まったI群と有意差を示した. 本法は, 再灌流初期の細胞内Ca2＋過負荷防止に焦点を置いた, BCPによる再灌流の一変法で, 長時間単純冷却保存心の蘇生における, ATPの温存・再生とCa2＋homeostasis維持対策として, 合理的で有効な方法と思われる. |
