アブストラクト(39巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 喀血症例に対する治療指針-自験例32例の検討-
Subtitle :
Authors : 増田秀雄, 尾形利郎, 菊地敬一, 高木啓吾, 加瀬勝一, 千先康二, 尾関雄一, 田中勧
Authors(kana) :
Organization : 防衛医科大学校第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 7
Page : 1005-1010
Year/Month : 1991 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 喀血を主訴とする32症例の治療成績を検討して, その治療指針について報告する. 32例の内訳は男20例・女12例, 年齢は平均52歳で, 結核・気管支拡張症などの慢性肺疾患によるものが29例, 悪性腫瘍によるものは3例のみである. 32例の内2例は対症的治療のみで軽快した. その他の30例には出血源の確認を目的として気管支動脈造影(BAG)が行われ, この内2例だけが造影不成功であった. BAGが成功した28例のうち12例は造影所見上で明らかな出血源を認めず, 抗生剤及び止血剤投与などで軽快した. 気管支動脈塞栓術(BAE)にはゼラチンスポンジを用いて16例に行い11例は軽快した. この内9例は1回のBAEで奏効しており, 1例のみが珪肺症を合併した低肺機能状態のため手術の適応外と判断され3回のBAEを行い軽快した. 2回のBAEにもかかわらず再喀血を来たした5例の内4例は手術により軽快したが, 1例だけがWPW症候群の合併及び吸引性肺炎の増悪により手術の待機中に死亡した. われわれの施設では, 全喀血症例32例に対する手術の機会は4例(13%)と低率であり, その治療手段選択上BAGによる出血源の確認がポイントになる. BAGにより出血源が確認された症例には脊髄枝の存在に留意しつつ, スポンゼルによるBAEを試みる. この際, 合併症予防に親子カテーテルの使用が有用であり, BAEを2回行っても再発するような症例は手術の適応と考えている. Interventional Radiologyの応用による手術の適応及び時期の決定が喀血症例の予後を規定するものと考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 喀血, 気管支動脈造影, 塞栓術, ゼラチンスポンジ, 脊髄損傷防止
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