アブストラクト(39巻7号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : セレン, グルタチオンペルオキシダーゼから検討した乳児期心筋の生物学的特性-乳児期心筋保護法不良の原因の解明を目的として-
Subtitle :
Authors : 千葉幸夫, 村岡隆介, 野口英樹, 井隼彰夫, 木村哲也, 平松義規, 森岡浩一
Authors(kana) :
Organization : 福井医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 7
Page : 1011-1016
Year/Month : 1991 / 7
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 必須微量元素のセレン(Se)は, 活性酸素をはじめとするフリーラジカルスカペンジャーの1つであるグルタチオンペルオキシダーゼ(GSHPx)の重要な構成成分である. 血清Se濃度, GSHPx活性は新生児期, 乳児期で低いことが知られており, このため乳児期開心術では虚血後の再灌流障害が成人と比べて容易に起こりやすく, このことが心筋保護効果が著しく悪い原因ではないかと考えた. 本研究では, ラットを乳児期群(生後8~12日), Se欠乏食群(Se欠乏食で2月飼育した成熟ラット群), 対照群(普通飼料で2月飼育した成熟ラット群)に分類して各々の血清内Se濃度, GSHPx活性, 心筋内Se濃度, GSHPx活性を測定し比較検討した. 結果は乳児期群, Se欠乏食群は血清内Se濃度, 血清内GSHPx活性, 心筋内GSHPx活性は対照群と比べ有意に低値を示した. しかしながら, 心筋内Se濃度は乳児期群はSe欠乏食群, 対照群と比べ有意に高値を示した. また, 心筋ミトコンドリア内過酸化脂質はSe欠乏食群で有意に高値を示した. このように乳児期ラットの心筋では, Seの生理活性が低く, その理由は不明であるが, 主として活性酸素の消去作用をつかさどるGSHPxの活性が低いため, 乳児期では再灌流障害が発生しやいすいことが推測される.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 乳児期心筋保護, セレン欠乏, GSHPx活性, 過酸化脂質
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