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進行性のチアノーゼ, Anoxic spell, 右室心筋の繊維化を認めるファロー四徴症（以下TOF）に対する外科治療は, 近年の乳児開心術全般の成績向上に伴い, 成長発育・運動能力・精神機能面, 更に肺胞数と肺血管床の発達面や, 不整脈・突然死の発生率面などで有利な乳児早期一期根治の方向にあり, 当施設でもTOF根治の低年齢化がみられる. 1974年基準式に基づき始めたStadardized Patch Infundibuloplasty法の10年長期遠隔成績に基き, われわれは, 1985年10月より要所に改良を加えたConotruncal Repair法を導入してきた. 今回1985年10月以後5年間のTOF根治177例中, 2歳未満の連続34例（19.2%）を対象とし, その成績及び方法の妥当性に検討を加えた. 1歳未満の13例（I群）は平均8.5ヵ月・7.2kg, 2歳未満の21例（II群）は平均18.2ヵ月・9.5kgで, 術前PA indexはI群215±70, II群218±62mm2/m2と有意差なし. 明らかなspellを各々54%, 67%に認めた. 術後右室大動脈圧比は, 両群間の有意差なくtotalで1.07±0.08から0.49±0.15に下降した. 術前後の造影による心室容量変化は, 両群間に有意差はなく, RVEDVは105±31から104±23%of Normalと全く増大をみせず, むしろLVEDVが97±24から111±33%of Normalと有意差はないものの増大傾向をみせた. 術後平均挿管期間はI群20時間に対しII群10時間, 両群では14時間, 調律は全例洞調律で, 新たな右脚ブロックは両群計でincomplete, complete各々28%に認めた. 術後平均入院期間は17日間で, 退院時心雑音は小児科記載において全例2°以下, うち無心雑音例が24%であった. TOF術後においてその術後・退院後の経過の質を端的に表わすCVPは, 両群間に有意差なく, 術中計測で9.4±3.5, ICU入室後6時間で10.2±1.9, 術後平均18日目のカテーテル施行例で8.4±1.5cmH2Oと, retrospectiveにみて, 当初目標としたCVP10cmH2O以下という水準でほぼ推移していた. 以上より本法は, 月齢・体重によらず, 有症状乳児TOFに対しても安全, 且つ有効に応用しうる術式であると考えられた. |
