Authors : |
安喰弘, 中村雅則, 馬場雅人, 仲倉裕之, 竹田晴男, 浅井康文, 小松作蔵, 富田英*, 沢田陽子* |
Abstract : |
乳児期純型肺動脈閉鎖症12例に対し17回の外科治療を行い, 術後死亡は2例(11.2%)であった. 外科治療は初回手術として, 経右室的肺動脈弁切開術(TVPV)を第一選択として10例に行い, うち3例には短絡手術を併用した. また, 他の2例に対しては短絡手術のみを行った. TVPVを行い経過が良好で, 術前心臓カテーテル検査を行った10例と, 術後に心臓カテーテル検査を行った8例について, 術前後の右心室の発育程度を検討した. I群は術後ASD, あるいはPFOは残存しているが, 血行動態的に修復手術と考えられた術前5例, 術後4例を, II群は初回手術後再度チアノーゼが増強し二期手術を必要とした術前5例, 術後4例について比較検討した. TVPV術後における右心室の発育程度は右室容積計数(RVI)を用い検討した. I群では術前15.75±2.92から術後17.00±1.57と有意(p<0.01)に増加したが, II群では術前9.24±2.60から術後9.58±2.76とほとんど増加を認めなかった. 術前のRVIが11以上の症例では, TVPV後右室容積は順調に発育し, ASD, あるいはPAFは残存してはいるが修復手術となり得る. これに対し術前のRVIが11未満の症例ではTVPV後も右室容積の発育は悪く二期的手術が必要となる. 二期手術としては右室流出路拡大術(RVOTR)を2例に, うち1例にはGlenn手術を併用した. 修復術(difinitive repair)はRVOTRとASD閉鎖術を1例に, また, bidirectional Glenn手術とASD閉鎖術を1例に行いともに術後経過良好である. |