アブストラクト(39巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : SJM弁による僧帽弁置換術の遠隔成績-術後10年の検討-
Subtitle :
Authors : 青柳成明, 田中攻, 西義勝, 山下正康, 押領司篤茂, 原洋, 小須賀健一, 大石喜六
Authors(kana) :
Organization : 久留米大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 8
Page : 1126-1131
Year/Month : 1991 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : SJM弁を用いて単独のMVRを行った404例を対象として, 術後10年にわたる遠隔成績を検討した. 年齢は1~73歳, 男161例, 女243例で, 弁病変はMS 120例, MR 132例, MSR 152例であった. 術後は全例にワーファリンと抗血小板剤による抗凝血薬療法を行いトロンボテスト値で20~30%に維持した. 早期死亡は21例(5.2%)で, MOF, LOSによるものが主であったが, 5例ではSJM弁による溶血が死因となった. 耐術症例の術後観察期間は1970.7患者・年(p-y)であった. 遠隔死亡は20例(5.2%)で, 術後10年の累積生存率, 弁関連非死亡率は83.2%, 96.8%であった. 血栓塞栓症(TE)は8例(0.41%/p-y)に発生した. 出血性合併症は4例(0.20%/p-y)に発生した. PVEの発生はなかった. 4例(0.20%/p-y)に人工弁周囲逆流をみたのみで, structural failureは全く認められず, 弁機能不全非発生率は98.5%であった. 7例(0.36%/p-y)に術直後から溶血がみられたが, 遠隔期に新たに発生したものはなかった. 溶血の原因として種々の因子が指摘されているが, 私達は弁逢着方向を一因子と考えており, antianatomical orientationの縫着を行っている. 全合併症を含めた合併症非発生率は術後10年で92.0%と, 極めて良好であった. 以上より, SJM弁は抗血栓性, 耐久性にも優れた人工弁と考えられ, 今後も第一選択の人工弁としていく方針である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : SJM弁, 僧帽弁置換術, 機械的溶血, 弁縫着方向
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