アブストラクト(39巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術前後における視床下部-下垂体-甲状腺機能-特にTRH試験による検討-
Subtitle :
Authors : 小玉仁, 泉雄勝
Authors(kana) :
Organization : 群馬大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 8
Page : 1139-1146
Year/Month : 1991 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 甲状腺ホルモンは循環系に対して重大な影響を及ぼす. また, 患者の受けた手術侵襲の程度を評価するためにも重要である. 1988年11月から1990年3月までに当科で経験した体外循環下心臓手術(ECC群:33例)と体外循環を用いない胸部手術(Control群:15例)を対象とし, 更にECC-L群:体外循環時間120分以上10例, ECC-S群:同120分未満23例に分け, 下垂体・甲状腺ホルモンの変動を分析した. 次にその病態を解明するためTRHに対する視床下部-下垂体-甲状腺系の反応性, 副腎皮質ホルモンによる影響について検討した. TSH, free T4は術後低下し, Control群では術後2~3日で回復したがECC群では同3日目まで低値を示した. free T3も同7日まで低値を保った. TRHに対する反応性は, 負荷後30分のTSH値で術後1日目にECC群で低下し, 更にECC-L群はECC-S群より低下した. 負荷後120分のfree T3も同様の経過を示した. cortisolは, 術後3時間にECC群で著増し, ECC-L群はECC-S群より増加する傾向にあった. 以上より心臓手術後は, euthyroid sick syndromeの状態を呈し, 体外循環により視床下部-下垂体-甲状腺系が抑制を受けたためと推察された. また, 患者の受けた体外循環による侵襲の程度の指標として, TRH試験は有用となりうると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 体外循環下心臓手術, 手術侵襲, euthyroid sick syndrome, 視床下部-下垂体系, TRH試験
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