アブストラクト(39巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 選択的肺動脈閉塞試験に基づく肺癌肺葉切除術の機能的適応評価
Subtitle :
Authors : 鈴木聡, 谷田達男, 小池加保児, 芦野有悟, 那須元一, 久保裕司, 渋谷丈太郎, 岩淵悟, 藤村重文
Authors(kana) :
Organization : 東北大学抗酸菌病研究所外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 8
Page : 1147-1152
Year/Month : 1991 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 原発性肺癌に対する右下葉または中下葉切除予定症例30例に対し, 選択的肺動脈閉塞試験に基づく肺葉切除術後の肺循環動態予測を行った. 一側肺動脈閉塞時と選択的肺動脈閉塞時では平均肺動脈圧, 肺血管抵抗, 全肺血管抵抗, 動脈血酸素分圧, 及び混合静脈血酸素分圧に差を認めた. このことは選択的肺動脈閉塞試験が手術側残存肺である右上葉を含めた残存肺血管床予備力を評価していることを示している. また一側肺動脈閉塞時の全肺血管抵抗指数が700dyne・sec・cm-5・m2以上群と700dyne・sec・cm-5・m2未満群との間では, 一側肺動脈閉塞時における全肺血管抵抗の増加率には差を認めたが, 選択的肺動脈閉塞時には差を認めなかった. このことは非手術側肺血管床予備力が著しく低下した症例であっても, 右上葉を含めた予備力は良好であり肺葉切除術後の心肺機能を維持し得ることを示している. 以上の成績に基づき, 一側肺動脈閉塞試験成績から肺切除術の適応外と判断される9例に対しても積極的に肺切除術を行った. 選択的肺動脈閉塞時における全肺血管抵抗が依然700dyne・sec・cm-5・m2を越えた2例では肺部分切除術に止めたが, 他の7例に対しては肺葉切除術を行った. 全例に術後心肺不全の発生を認めなかった. 肺葉切除術後急性期における全肺血管抵抗は, 選択的肺動脈閉塞時におけるそれにほぼ一致した. 以上の成績は, 選択的肺動脈閉塞試験により肺癌肺葉切除術に対する機能的適応拡大を図り得ることを示している.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 選択的肺動脈閉塞試験, 一側肺動脈閉塞試験, 肺循環動態, 肺葉切除術, 機能的適応評価
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