アブストラクト(39巻8号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸部下行大動脈手術における補助手段としての遠心ポンプバイパス法の検討
Subtitle :
Authors : 平山哲三, 山崎徹, 清水剛, 阿久津博美, 首藤裕, 小長井直樹, 長田一仁, 長江恒幸, 石丸新, 古川欽一
Authors(kana) :
Organization : 東京医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 8
Page : 1153-1159
Year/Month : 1991 / 8
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 胸部下行大動脈手術に対する補助手段として遠心ポンプを併用したアンスロンシャントチューブによる動脈間, あるいは左心バイパス(遠心ポンプバイパス)を13例に行い, 腋窩―大腿動脈間でのシャントチューブによる一時バイパス法を行った4例と血行動態的に比較検討した. 更に, 遠心ポンプバイパス例におけるバイパス経路について, 術中問題点・術後合併症の面から検討を行った. 遠心ポンプバイパス例では, 一時バイパス例に比し, 大動脈遮断部位より末梢への血流および大動脈遮断中の尿量は有意な高値を示したことより, 遠心ポンプバイパス法は腎機能障害や高血圧を有する高齢者等のhigh risk症例に対して有用性が高いと考えられる. また, 左心バイパス法は, 下行大動脈病変の部位や種類に影響なく行える有用な補助手段であるが, バイパス設置に関わる合併症(脳梗塞1例, 心嚢液貯留2例)を経験したことより, 脱血チューブの挿入・抜去時には十分な注意を要すると同時に, 有心疾患症例(特に高度左室肥大)への使用は慎重に行うべきであると考えられる. 高度左室肥大を有する場合には, 中枢側大動脈遮断部位より上位の下行大動脈にcannulationの余裕があれば, 動脈間バイパス法も有用な手段である. 左胸腔内広範囲癒着等により脱血チューブ挿入が困難な場合は, 遠心ポンプを用いた経腋窩動脈的動脈間バイパス法も有用と考えられるが, 脱血チューブの大動脈への安全, 且つ確実な挿入方法及び十分な流量を得るためのチューブの開発が不可欠である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 胸部下行大動脈手術, 補助手段, 遠心ポンプ, シャントチューブ, バイパス経路
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