Abstract : |
肺切除術術前の運動負荷試験により術後の最大下酸素摂取量(実測MVo2)の予測が可能かいなかを検討した. 21歳から80歳(平均62.0歳)の肺切除症例34例(一葉切19例, 二葉切9例, 全摘6例)を対象とした. 運動負荷試験は術前1週間と術後日常生活に支障がないと認められる時期(平均5.4ヵ月)に行った. 術後予測MVo2を〔0.8×術前MVo2×切除率×年齢指数+183〕の式に従い算出し, 術後予測MVo2と術後MVo2の相関を検討した. ここで切除率は〔全肺区域数―切除区域数〕/〔全肺区域数―罹患区域数〕. 年齢指数は49歳以下1.5, 50歳から69歳1.0, 70歳以上0.8とした. 対象の年齢や術式あるいは切除量が多様であったにもかかわらず, 25例ではr=0.94, t=13.4, y=1.08x-84と高い相関が得られた. しかし陳旧性心筋梗塞, 術後脳梗塞, 喀痰排出が多く咳嗽のためにMVo2が制限された例, 化学療法後10日以内の例, 最大運動負荷が3METS未満の計9例では相関が低かった. 運動制限を来す明らかな要因を有する例, あるいは著明な運動能力低下例を除外すれば, 術前運動負荷試験より術後MVo2を予測することが可能であった. |