アブストラクト(39巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 高齢者冠動脈バイパス術症例とそのmatched populationの長期遠隔予後の比較
Subtitle :
Authors : 平田展章, 中埜粛, 松田暉, 谷口和博, 松村龍一, 榊成彦, 高橋俊樹, 光野正孝, 植田隆司, 川島康生
Authors(kana) :
Organization : 大阪大学医学部第1外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 9
Page : 1691-1694
Year/Month : 1991 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 最近, 70歳以上の高齢者における冠動脈バイパス術(CABG)が増加しており, その手術成績も良好である. しかし, 70歳以上の高齢者においては経過中他疾患による死亡も多く, 長期間の手術効果の判定には単なる遠隔成績の検討のみでは不明瞭である. そこで生命表を用い手術時年齢及び性別を対象群と一致させたmatched populationの余命と対比することにより70歳以上の高齢者におけるCABG術後の遠隔成績を検討した. 対象は1972年より1989年までの18年間に教室で施行した単独CABG 394例中, 手術時年齢が70歳以上の32例である. 男性22例, 女性6例, 年齢70~78歳(平均72歳), 追跡期間は1年~10年(平均追跡期間4.3±2.3年)である. 遠隔死亡は5例であった. 手術死亡例は認なかった. なお, 2例は再手術症例であった. 心筋梗塞既往は19例(68%), 高血圧, 糖尿病の合併例は11例(34%), 14例(44%)であった. 冠動脈病変枝数は1枝病変:1例, 2枝病変:9例, 3枝病変:19例, LMT病変:3例であり, 平均グラフト数は3.2本であった. 1. 対象例の5年生存率は93%, 9年生存率は31%であった. matched populationでは5年生存率は81%, 9年生存率は59%であり, 差を認めなかった. 2. matched populationの生存率で除した相対生存率は, 3年では103%, 5年では114%, 9年では52%であった. 相対生存率は5年までは100%を起えていた. 以上70歳以上の高齢者のCABGの長期遠隔成績は, matched populationの余命に比し差を認めなかった. 更に術後5年までは相対生存率が100%を超えており, CABGの手術効果はあると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 高齢者(70歳以上), 冠動脈バイパス術, 遠隔成績, matched population
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