Abstract : |
長期経過観察中の冠動脈バイパス術(coronary bypass brafting, CABG)883例中狭心症の残遺あるいは再発を179例, 20.3%に認めた. 塁積生存率及び狭心症自由度は5年, 10年目でおのおの91%, 87%, 及び75%, 62%であった. これらの, 狭心症再発・増悪に対し経皮的冠動脈形成術(percutaneous trasluminal coronary angioplasty, PTCA)や血栓溶解療法(intracoronary thromobolysis, ICT), 再CABGなどの侵襲的治療を65例, 92回施行した. 死亡は2例, 2.7%であった. PTCAは43例, 57回で, グラフト閉塞, 21箇所, 自己冠状動脈病変50箇所であった. その初回成功率は自己冠動脈病変74%, グラフト狭窄68%であった. 急性心筋梗塞(acute myocardial infarction, AMI)などの合併症は自己冠動脈病変に対して2回, 3.6%, グラフト閉塞に対して1回, 4%に発生したが, 死亡症例は認めなかった. PTCAの不成功あるいは再閉塞のため再CABGを5例, 12%に施行し, 全例経過は良好である. ICTは13例に15回施行した. その原因はグラフト閉塞9回, 自己冠動脈病変の進行9回, 両者の合併3回であった. ICTの成功は10回, 67%であったが, 再閉塞あるいは病変の残遺のため再ICT 2例, 2期的PTCA 5例, 再CABG 1例を経験した. 再CABGは20例に20回施行した. 病院死亡1例及び術後4年目に心不全で1例が死亡したが, 他の18症例の経過は良好であった. CABGの侵襲的治療の成績は初回手技・手術に比較して遜色のない成績であった. 従って, 狭心症の再発・増悪に対して積極的に侵襲的治療を施行することが有用であると思われた. |