アブストラクト(39巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術症例におけるverapamilの至適投与法の検討
Subtitle :
Authors : 井畔能文, 森下靖雄, 豊平均, 下川新二, 西元寺秀明, 橋口雅彦, 川島淳宏, 森山由紀則, 平明
Authors(kana) :
Organization : 鹿児島大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 9
Page : 1717-1722
Year/Month : 1991 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : verapamilの開心術症例での至適投与法を検討した. verapamilの投与法で対象を3群に分け, 心筋保護液(カリウム加稀釈体外循環血)に1mg/l添加したのをI群(n=15), 体外循環充填液にverapamil 0.2mg/kg添加したのをII群(n=15), 体外循環充填液にverapamil 0.2mg/kgを添加し, 体外循環開始60分の時点で0.1mg/kgを追加投与, 同時に0.5μg/kg/minで持続点滴したのをIII群(n=15)とした. 各群とも冠動脈バイパス術6例, 弁置換術9例で疾患別差異はなかった. verapamilの血中濃度はII, III群で体外循環開始直後に96.21±28.36ng/mlであったが, 開始60分にII群11.45±1.55, III群67.4±24.6ng/mlと, III群のみが有効血中濃度を維持した. I群は全経過を通じて5ng/ml以下であった. 血清酵素値は各群間に有意差はないが, CPK, GOT値がともにII>I>III群の順に高値を示した. 術後カテコラミンの使用量はI群がII, III群に比し有意に(p<0.05)多かった. 術後の不整脈はII群に上室頻拍2例, 心室細動2例を認めたが, I, III群で重篤な不整脈を認めなかった. II群の2例を術後失ったが, I, III群に死亡例はなかった. 以上よりIII群の投与法では, verapamilの有効血中濃度を維持することが可能であった. 虚血に先立って投与するpretreatment法, 虚血中に投与するcardioplegia法の両者を兼備えることからも, 今回の検討中, 選択すべき投与法であるとの結論を得た.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : verapamil, 至適投与法, 血中濃度, 開心術
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