アブストラクト(39巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 開心術時のアラキドン酸代謝異常とアプロチニンの効果
Subtitle :
Authors : 長岡秀郎, 印南隆一, 船越尚哉, 藤原明, 伊藤淳
Authors(kana) :
Organization : 土浦協同病院心臓血管呼吸器外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 9
Page : 1723-1730
Year/Month : 1991 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 定常流体外循環(CPB)下開心術30例(I群:アプロチニン非投与15例, II群=アプロチニン投与15例)を対象として術中術後のアラキドン酸代謝, そしてこれに対するアプロチニンの効果について検討した. II群におけるアプロチニン投与はI群の結果に基づいて主に人工心肺回路内に使用した. I群の動脈血中Thromboxane B2(TXB2, Thromboxane A2の安定代謝産物, pg/ml)は術前45.9±40.5からCPB 30分で560.2±381.5(p<0.01), CPB終了時には830.5±591.1(p<0.005)と有意増加を示した. I群中の7例で測定した主肺動脈(PA)及び左心房(LA)血中のTXB2値はCPB開始直前及び開始後5分では術前値に比べて有意増加はなかった. CPB終了時には術前値45.9±40.5に対してPAで625.0±186.3(p<0.005), LAで817.0±320.2(p<0.001)と有意増加を示したが, PA, LA間には有意差を認めなかった. β-thromboglobulin(β-TG)値もTXB2とほぼ同様の変化を示した. II群のTXB2値は循前60.1±38.8から30分で250.0±98.2(p<0.02), 終了時に449.3±200.5(p<0.02)と有意に増加したが, これらは同時期のI群値よりも有意(p<0.05)に低値であった. β-TG 値についても同様であった. 以上の結果から開心術中に発生する血小板活性化, TXA2産生増加への肺循環の関与は少なく, 主として非生理的な回路面と血液との接触に起因するものと考えられ, これの制御にアプロチニン投与が有効と結論できる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 開心術, アラキドン酸代謝, 血小板, アプロチニン
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