アブストラクト(39巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺移植における虚血再灌流障害とSOD活性の変化についての実験的研究
Subtitle :
Authors : 青江基, 寺本滋
Authors(kana) :
Organization : 岡山大学医学部第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 9
Page : 1731-1741
Year/Month : 1991 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺移植において移植早期に起こる呼吸不全の主な原因として, 再灌流時に発生する活性酸素(O2)が重要である. この活性酸素を除去する酵素であるSOD(superoxide dismutase)は生体内に存在している. 今回著者は, 肺に温阻血負荷(WIT:warm ischemic time)を加え生体内のSOD活性の変化を検討するために, 以下の実験を行った, 雑種成犬を用い, hilar stripping群, WIT 60分群, WIT 120分群を作製し, WIT前後経時的に血液ガス, 左全肺血管抵抗(lTPR), 左肺湿乾燥重量比, および血漿中, 気管支肺胞洗浄液(BALF)中のCeruloplasmin濃度, ACE(angiotensin converting enzyme), SOD活性を測定した. また血漿中のSODは細胞外SOD(EC-SOD)とその他SODに分離し, 活性をESR(electron spin resonance)法を用いて測定し以下の結果を得た. 1. WIT後3時間でlTPRは対照群に比べ有意に(p<0.01)上昇し, PaO2, PaCO2は3日目に有意な(p<0.05)肺機能低下を示した. 同様に肺湿乾燥重量比も, 3日目で有意に上昇し(p<0.05), 肺水腫が最も高度となった. 2. 血漿中, BALF中のCeruloplasmin濃度, ACE活性は, 有意に変化しなかった. 3. BALF中のSOD活性は有意に変化しなかったが, 血漿中のSOD活性はWIT後3時間で, 有意に(p<0.05)上昇し, 特にEC-SOD濃度(U/ml)はhilar stripping群:12.3±2.1, WIT 60分群:31.0±6.2, WIT 120分群:37.6±7.8と有意に(p<0.05)上昇した. これより, EC-SODは再灌流後の組織障害を抑える重要な内因性の物質であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺移植, 再灌流障害, 活性酸素, SOD, ESR
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