アブストラクト(39巻9号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 慢性肺気腫症例における肺葉切除後の肺機能-肺機能予測に関する再評価-
Subtitle :
Authors : 芦野有悟, 千田雅之, 鈴木聡, 那須元一, 磯上勝彦, 久保裕司, 谷田達男, 小池加保児, 藤村重文
Authors(kana) :
Organization : 東北大学抗酸菌病研究所外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 9
Page : 1752-1757
Year/Month : 1991 / 9
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 肺血流スキャンと切除予定区域数より算出される術後肺機能の予測に関し, その妥当性を検討する目的から, 肺葉切除後の肺機能予測を慢性肺気腫を合併した群(CPE群)と正常な肺機能を有する群(対照群)とで比較検討した. 肺葉切除術を施行した肺癌症例の内, 内視鏡無所見のT1症例を対象とし, CPE群30例と対照群41例で検討した. 術前, 術後に肺機能(FVC, FEV1, TLC, FRC, RV, DLco), 肺血流スキャン(術後の肺スキャンはCPE群9例, 対照群11例)の測定を行い, 術前値より, 1. 術後肺機能予測値と術後実測値の相関. 2. 手術側の術後肺機能予測値と術後手術側肺機能推定実測値との相関. 3. 非手術側の術後肺機能予測値と術後非手術側肺機能推定実測値との相関を求めた. これらを2群間で比較検討し, 以下の成績を得た. a. 手術側, 非手術側を合わせた総合肺機能における予測値と実測値との関係では, 対照群において, 全ての測定項目で高い相関が得られた. CPE群での相関はFVC, FEV1で低値であった. b. 手術側術後肺機能予測値と推定実測値との関係では対照群でFEV1を除き高い相関が得られた. CPE群ではDLcoを除き相関はなかった. c. 非手術側では, 対照群で全ての項目で高い相関が得られ, CPE群ではDLcoを除き相関が得られた. これらの主因として, CPE群での換気血流不均等の問題, CPE群での呼吸筋の問題, 術側の胸郭と肺容量の問題, 術後の肺 血流再分配の問題などが考えられた. 以上より肺血流スキャンと切除区域数より求める術後肺機能予測は, 極めて慎重に行わなければならないと結論された.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺機能, 慢性肺気腫, 肺葉切除, 肺血流スキャン
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