Abstract : |
11年前に冠動脈バイパス術(CABG)を施行した43歳男性に, 狭心痛の再発が認められ, 冠動脈造影で左冠動脈回旋枝に径2cmの冠動脈瘤と瘤起始部に高度狭窄を認めた. 心臓前面に開存するグラフトが存在すること, 冠動脈再手術であること, 瘤は回旋枝にあることを考慮し, 左開胸によりアプローチし, 瘤の結紮とCABGを行った. 家族性高コレステロール血症(FH)患者で若年であることより, 長期開存が期待し得る内胸動脈グラフト(IMAG)を使用した. 術後経過は良好であり, 術後造影検査でIMAGは良好に開存しており, 狭心痛は認めない. FH患者の冠動脈瘤に対する手術例は, 極めてまれと考えられるため報告した. 冠動脈瘤は冠動脈造影(CAG)施行症例の1.4~4.9%の頻度で認められるとされているが1)~3), 手術の対象となることはまれである. われわれは, 冠動脈バイパス術(CABG)後11年の経過中に狭心痛が再発し, 冠動脈造影(CAG)で冠動脈瘤の増大と瘤の中枢側に高度狭窄を認めたため, 瘤結紮と内胸動脈グラフト(IMAG)を用いたCABGを行った1例を経験したので報告する. |