アブストラクト(39巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 乳癌術後放射線照射後に発生した胸部食道癌の検討
Subtitle : 原著
Authors : 植田守, 松原敏樹, 霞富士雄, 西満正, 梶谷鐶
Authors(kana) :
Organization : 癌研究会附属病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 10
Page : 1852-1857
Year/Month : 1991 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 乳癌切除後の放射線照射後に発生した胸部食道癌を11例経験し8例を切除した. 全例乳癌切除術後ひき続いて放射線照射を受けてた. 照射野は, 胸骨傍と鎖上照射が7例であり, 胸骨傍照射は4例で, 全例両側または片側の胸骨傍領域を含んでいた. 線量はラジウム照射35Gyの1例を除き50~60Gyであった. 食道癌の発生部位への推定線量はラジウム照射では10Gyであったが, リニアック照射例では25~48Gyであった. 食道癌発見までの期間は2年の1例を除き10年以上であった. 食道癌発生部位は全例照射野内であり, Iu 4例, Im 4例, Ei上部3例であった. 対象症例11例中8例は当院で1946年から1980年までに乳癌切除並びに放射線照射を受けていた. これは同期間の乳癌切除例の0.17%, また, 乳癌術後リニアック照射例の0.39%に相当する. 食道癌切除術は8例に行われ, そのうち早期癌の1例と食道癌術前照射で癌が消失していた1例は生存中である. 2例では放射線照射のみが行われ, 放射線照射が発癌に関与していると思われるにもかかわらず, 放射線治療は有効であった. 乳癌術後放射線照射後の長期生存者例では, 治療による晩期障害としての発癌も念頭において, 2次癌発生の早期発見に留意しなければならないと思われた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 乳癌術後食道癌, 放射線誘発癌, 胸部食道癌
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