アブストラクト(39巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 静脈グラフトによるSequential吻合の有用性と限界
Subtitle : 原著
Authors : 近藤敬一郎, 佐々木進次郎, 奥孝彦, 蓑原靖一良, 長谷川滋人, 澤田吉英, 森田雅文, 武内敦郎
Authors(kana) :
Organization : 大阪医科大学胸部外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 10
Page : 1865-1869
Year/Month : 1991 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 冠動脈バイパス手術(CABG)における完全血行再建達成の如何は, 術後の症状の有無に大きく関与している. 完全血行再建のためには, 長期開存性の優れた動脈グラフトに加えて, 静脈グラフト(SVG)の使用も必要となることが多いが, その使用法や吻合法の改善と工夫によってさらに成績が向上しつつある. しかし, SVGの使用は開存性において種々の問題を含んでおり, とくに細く, 且つrun offの不良な冠動脈枝との吻合には悩まされることが多い. そこでわれわれは, SVGの有用性を再評価し, その限界について認識することを目的に以下の検討を行った. 対象は1989年1月から1990年4月までに当施設で行われたCABG 91例とした. この期間に内胸動脈(ITA)は79%に, SVGは99%の症例に使用した. 患者1人あたりの平均吻合冠動脈枝数は3.3であった. 全吻合枝の早期開存率は92%(204/221)であり, ITA 96%(52/54)及びSVG 91%(152/167)であった. SVGの使用法別にみた開存率はindividual 90%(70/78), sequential 92%(82/89)であり, さらにsequentialを端側吻合(E-S)と側々吻合(S-S)とに分けて比較すると各々88%(36/41), 96%(46/48)と有意差はないもののS-Sでやや高い結果となった. この結果と冠動脈内径および術中に測定したグラフト流量から以下の結論を得た. 完全血行再建のためにはSVGの使用は不可避であるが, individualに使用する際には内径1.5mm未満の細い冠動脈でも30~35ml/min以上のグラフト流量が得られれば良好な開存が期待できる. 一方, sequentialの場合はE-S吻合部には1.5mm以上の血管を選ぶことで, より高い開存率が得られると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : CABG, sequential grafting, 完全血行再建術, 冠動脈内径, グラフト開存率
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