アブストラクト(39巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : ラット心の心筋保護効果におけるセレン欠乏の影響について
Subtitle : 原著
Authors : 千葉幸夫, 村岡隆介, 野口英樹, 森岡浩一, 木村哲也, 平松義規, 井隼彰夫
Authors(kana) :
Organization : 福井医科大学第2外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 10
Page : 1882-1887
Year/Month : 1991 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : ラットをセレン欠乏食で約2ヵ月飼育することにより, 血清セレン濃度, 血清及び心筋内グルタチオンペルオキシダーゼ活性の点で乳児期ラットと類似の状態を作り出せることから, このセレン欠乏食ラットを用いて, 新生児期乳児期における再灌流障害の原因の1つとしてのセレン, グルタチオンペルオキシダーゼの関わりについて検討した. 方法は, セレン欠乏食ラット(n=6)と成熟ラット(n=6)の摘出心をランゲンドルフ灌流装置に接続し, 37℃の酸素加Krebs-Henseleit液で15分間灌流後, Young氏液, St. Thomas液を冠動脈内に灌流して心停止とし, 4℃60分間の心停止後, 再灌流を行った. working heart modelとし, 左房から13cmH2Oの圧で灌流し30分後に大動脈圧, 左室圧, 左室max dp/dt, 冠血流量, 大動脈血流量を測定した. その後液体窒素により心臓を瞬間凍結し, 心筋内過酸化脂質濃度を測定した. 結果は, セレン欠乏食ラットでは, 大動脈収縮期圧, 左室max dp/dt, 大動脈血流量, 心拍出量, 一回心拍出量は成熟ラットと比べ有意に低値を示した. また, 心筋内過酸化脂質濃度は有意に高値を示した. 以上の結果から, セレン欠乏食ラットは成熟ラットと比べ, 虚血再灌流障害を受け易く, その原因として血清内セレン濃度, 血清及び心筋内グルタチオンペルオキシダーゼ活性の低下が考えられる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 乳児期心筋保護, セレン欠乏, グルタチオンペルオキシダーゼ活性, 過酸化脂質, 再灌流障害
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