アブストラクト(39巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 肺癌手術後に発生する気管支瘻-発生要因, 治療法, 予後-
Subtitle : 原著
Authors : 浅村尚生, 近藤晴彦, 呉屋朝幸, 土屋了介, 成毛韶夫, 末舛恵一
Authors(kana) :
Organization : 国立がんセンター病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 10
Page : 1894-1901
Year/Month : 1991 / 10
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 国立がんセンター病院において, 過去28年間に発生した肺癌切除術後気管支瘻55例について検討した. このうち52例が原発性, 3例が再発性肺癌であった. 同期間に切除された原発性肺癌は2,446例で, 気管支瘻発生率は2.1%であった. 初回手術術式としては肺剔除術(26例)が最も多く, 肺葉切除術(20例), 気管支形成術(8例), 断端再切除術(1例)の順であった. 気管支瘻発生の危険因子として, 1, 進行肺癌(80.8%), 2, 断端, 吻合線での癌組織遺残(29.1%), 3, 低アルブミン血症, 糖尿病, ステロイド投与(20%), 4, 合併療法(49.1%), などが挙げられた. 気管支肺動脈瘻による喀血(5例), 肺炎の増悪(1例), 自然治癒(1例)の7例を除く48例に治療が行われた. このうち7例はチューブドレナージ単独, 41例に外科的治療を行った. チューブドレナージ単独施行例は, 7例中6例が死亡して予後不良であった. 外科治療例は, 1例を再手術中出血により失った. 残る40例では, 24例が1回のみ, 16例が多段階の手術を受けた. 初回再手術の術式として, 瘻孔直接再縫合(16例), 断端再切除閉鎖(3例), 残肺剔除術(6例), 瘻孔被覆(27例), 胸郭成形術(29例), 開窓術(5例)であった. 初回外科治療で治癒にもちこめた症例は11例で, 5例は多段階手術後に治癒した. 瘻孔の直接縫合は4例においてのみ成功した. 全体の予後は極めて不良であり, 37例が気管支瘻関連合併症により死亡した(死亡率67.3%). 術前, 術中の気管支瘻に対する十分な予防と, 不幸にして発症した場合には, 早急かつ適切な対応が必要である.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 肺癌, 気管支瘻, 合併症, 集学的治療, 気管支形成術
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