アブストラクト(39巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胃上部の胸腔内脱出を併発した特発性食道破裂の1治験例
Subtitle : 症例
Authors : 井上恒一1), 牧田俊宣2), 荒井好範1), 福嶋元彦1), 賀嶋俊隆1), 高場利博1)
Authors(kana) :
Organization : 1)昭和大学医学部外科, 2)牧田総合病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 10
Page : 1923-1926
Year/Month : 1991 / 10
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 特発性食道破裂はまれであり, その初期症状は多種多様で早期の診断には難渋することが多い. 診断が遅れ膿胸などを併発すると重篤となる. 本症例の患者は吐血にて救急車で来院したが間もなく激しい胸痛を訴えた. 胸部レントゲン写真で左横隔膜の挙上と中央陰影の拡大を認めたためCT検査を行った. 胸水の存在と縦隔気腫から食道破裂を診断した. 胸腔ドレナージ後, 緊急手術を施行した. 左胸腔内には多量の胃液と食物残渣が存在しており, これを排除すると横隔膜上に粘膜を外側に向け反転脱出した胃上部の存在を認めた. 脱出した胃を腹腔内へ引き戻し整復すると横隔膜食道裂孔の直上の食道左心に破裂創が約5cmにわたり縦走していた. 食道には破裂創以外の病的異常は認めず特発性食道破裂と診断した. 早期診断に胸部CT検査は有用と思われる. 特発性食道破裂は比較的まれな疾患であり, 本邦では1934年以来56年間に200例が報告されている1). 本疾患は発症後早急に外科治療を行わないと重篤な状態となるため早期診断が重要となる.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 特発性食道破裂, 胸腔ドレナージ, 吐血, 消化管穿孔
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