アブストラクト(39巻10号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 高Na血症を主体とする高浸透圧血症による開心術後せん妄状態5例の検討
Subtitle : 症例
Authors : 平松祐司1), 榊原謙2), 三井利夫2), 堀原一2), 酒井章3), 大澤幹夫3)
Authors(kana) :
Organization : 1)筑波大学附属病院外科, 2)筑波大学臨床医学系外科, 3)聖隷浜松病院心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 10
Page : 1945-1948
Year/Month : 1991 / 10
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 開心術後に高Na血症を主体とする高浸透圧血症による意識障害を呈した5例を経験し, その診断と治療上の問題点について検討した. 意識障害発症時の血清浸透圧の最低値は336mEq/lであり, 血糖値は304mg/dl以下と比較的低く, 高浸透圧性非ケトン性糖尿病性昏睡(hyperosmolar hyperglycemic non-ketotic diabetic coma:HHNKDC)の診断基準には相当しなかった. 高Na血症を主体とする高浸透圧血症によるせん妄は, HHNKDCと同様に, 症状の非特異性や, 開心術後という脱水状態が看過されやすい特殊な状況のために, 発症当初には重篤な術後合併症としては考えにくい. 治療にあたっては, 性急な血清浸透圧の是正は, 細胞内浮腫を惹起して病態を悪化させうるために禁忌である. HHNKDCの予後は比較的不良であるとの報告も散見されるが, 高Na血症を主体とする高浸透圧血症によるせん妄と考えられた自験例では, 意識は全例正常に復した. それゆえに早期の病態認識, 診断確立と適切な治療が重要であると考えられた.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 開心術後, 高Na血症, 高浸透圧血症, 意識障害, せん妄状態
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