Abstract : |
肺移植における術後一過性の肺機能低下は, 肺の温阻血再灌流障害が主因ではないかと考えradical scavengerであるsuperoxide disumutase(SOD)を左肺除神経モデル犬に投与しその効果について検討した. 雑種成犬30頭を次の4群に分けた. 1群:虚脱した状態で左肺に1時間の温阻血を加えたもの(n=6), 2群:膨張した状態で左肺に1時間の温阻血を加えたもの(n=9), 3群:1群と同じ操作で再灌流直前にSODを投与したもの(n=6), 4群:2群と同じ操作で再灌流直前にSODを投与したもの(n=9). これら4群について温阻血前, 再灌流直後, 1時間後, 2時間後に5分間右肺動脈を遮断して血液ガス, 心拍出量, 肺動脈圧, 肺血管抵抗などを測定し, 左肺の機能評価を行った. その後, 犠牲死せしめ, 肺血管外水分量の測定, 組織検索を行った. その結果2, 3, 4群では1群に比べて血液ガス, 肺血管外水分量が良好な値を示し, 組織検索でも肺水腫の程度は軽度であった. 左肺血管抵抗は虚脱肺(1, 3群)では再灌流後著明に上昇したが, 膨脹肺(2, 4群)では変化しなかった. 肺移植における温阻血再灌流後の肺水腫は膨脹肺では起こりにくく, 虚脱肺でもSODの投与によりかなり軽減されSODの投与はreimplantation response1)の軽減に役立つのではないかと思われた. |