アブストラクト(39巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : エリスロポエチン投与による自己血輸血開心術-術前貯血量及び術後投与方法に関する検討-
Subtitle : 原著
Authors : 渡辺泰徳1), 布施勝生1), 成瀬好洋1), 小林俊也1), 山本晋1), 小西宏明1), 柴田洋一2)
Authors(kana) :
Organization : 1)虎の門病院循環器センター外科, 2)虎の門病院循環器センター輸血学科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 11
Page : 2012-2016
Year/Month : 1991 / 11
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 待機的開心術42症例に対してエリスロポエチン(rHuEPO)を投与し, 術前短期間で貯血可能な自己血量及び術後投与期間による術後貧血改善効果の違いについて検討した. rHuEPO(100U/kg/day)及びコンドロイチン硫酸鉄剤(40mg/day)を術前14日間連日静脈内投与し, この間に液状保存血として術前14日及び4日に400mlずつ計800mlの自己血を貯血した. 網状赤血球数はrHuEPOの投与開始後3日目から有意に上昇しはじめた(p<0.01). ヘモグロビン値は自己血採取前に13.4±1.0g/dlであったが, 800mlの自己血を採取しても術直前には13.4±1.1g/dlと回復していた. rHuEPOの術前静脈内投与により, 術前2週間という短期間で患者を貧血状態にすることなく通常の開心術に心要な800mlの自己血の貯血が可能であった. rHuEPOの術後の投与期間についてはI群(10例):術後14日間投与群, II群(12例):術後7日間投与群, III群(20例):術後非投与群の3群に分けた. 網状赤血球数は3群ともrHuEPOの投与中止後急速に低下して中止後7日目には投与前値にもどっていた. ヘモグロビン値はI群では投与中止後も維持されて, 術後1日目に比べて術後21日目では+2.2±1.1g/dlであった. これに対してII群では投与中止後低下して術後21日目で+0.9±0.7となり, III群の+0.5±0.9と比べて有意差はなく, I, II群間(p<0.05), I, III群間(p<0.01)に有意差を認めた. 術後の貧血の改善を目的としてrHuEPOを術後投与する場合には, 2週間程度継続投与する必要がある.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : エリスロポエチン, 自己血輪血, 開心術
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