Authors : |
徳永滋彦1), 安井久喬2), 角秀秋1), 米永國広1), 中村祐一郎1), 塩川祐一1), 中野英一3), 安藤廣美4), 徳永皓一2) |
Abstract : |
副僧帽弁は左室流出路狭窄を来す極めてまれな心奇形である. 当院において外科治療を行った副僧帽弁は5例で, いずれも他の心奇形を伴っていた. 症例1は生後13ヵ月, 両大血管右室起始症, 大動脈縮窄症を合併, 左室大動脈(LV-Ao)圧較差は25mmHg. 症例2は26生日, 完全大血管転位症, 動脈管開存症を合併, 左室肺動脈(LV-PA)圧較差は11mmHg. 症例3は1歳10ヵ月, 心室中隔欠損症, 膜性部中隔瘤を合併, 圧較差は不明. 症例4は生後2ヵ月, 心室中隔欠損症, 先天性完全房室ブロックを合併, LV-Ao圧較差は35mmHg. 症例5は23生日, 完全大血管転位症, 動脈管開存症を合併, LV-PA圧較差は10mmHgであった. これら5症例に対し, 合併する心奇形の根治手術と同時に, 副僧帽弁組織を切除し良好な結果をえた. 術前診断として超音波心断層法が有用であり, 典型的には左室流出路に心収縮に同期して振り子用運動を示す異常構造物として確認される. 副僧帽弁へのアプローチとして, 従来報告されている経大動脈的あるいは左房切開を加える方法は, 新生児, 乳児早期では視野が狭く手術手技が困難と思われる. 今回, われわれは心室中隔欠損症合併例で経心室中隔的に副僧帽弁を良好な視野の下に確認し切除した. この方法は良いアプローチであるゆえに推奨したい. |