アブストラクト(39巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 気胸手術後4年目に喀血を来した肺縫合糸膿瘍の1手術例-肺縫合糸膿瘍の成因に関する考察を中心に-
Subtitle : 症例
Authors : 野中誠1), 荒井他嘉司2), 稲垣敬三2), 森田敬和2), 矢野真2), 宮澤秀樹2)
Authors(kana) :
Organization : 1)昭和大学医学部外科, 2)国立療養所中野病院外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 11
Page : 2088-2091
Year/Month : 1991 / 11
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 自然気胸に対する肺部分切除後6ヵ月目には既に形成され, 術後10ヵ月目より血痰を, 術後4年目より喀血を来した肺縫合糸膿瘍を経験したので報告した. 症例は53歳, 男性. 自然気胸術後5年目に喀血の原因となった膿瘍が存在する左上葉を切除した. S1+2aに縫合糸膿瘍を認めた. 非吸収性の編糸(ポリエステル糸)を中心とする膿瘍に, 胸壁の血管及び気管支動脈が破綻して, 喀血を来したものと思われた. 縫合糸膿瘍形成部のほかに, 同じ縫合糸を用いて肺縫縮を行うも膿瘍を形成していなかった部位があり, これを病理組織学的に比較検討した. 肺縫合糸膿瘍の形成, 及び同部の急性炎症の持続には, 非吸収糸による異物反応の他に, 隣接する気管支からの感染が関与し, 編糸が感染の温床となっていることが示唆された. 肺縫合糸膿瘍とは胸膜及び肺内の縫合糸を中心として形成される膿瘍である. 臨床において遭遇することは極めてまれであり, 放置すれば血痰や喀血などの症状を引き起こすこともある.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 縫合糸膿瘍, 肺膿瘍, 喀血, ポリエステル糸, 非吸収糸
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