アブストラクト(39巻11号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 胸腺全摘除術後に発症した純赤芽球癆の1例
Subtitle : 症例
Authors : 鈴木隆, 堀豪一, 北見明彦, 鈴木秀一
Authors(kana) :
Organization : 昭和大学藤が丘病院胸部心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 11
Page : 2106-2110
Year/Month : 1991 / 11
Article : 報告
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 浸潤型胸腺腫のために胸腺全摘除術を施行した約4ヵ月後に発症した純赤芽球癆を経験した. 症例は61歳女性で前縦隔腫瘍を発見されて入院した. 術前には純赤芽球癆や重症筋無力症は認めなかった. 手術を行うと腫蕩は左肺上葉, 横隔神経へ浸潤しておりこれらの組織と共に胸腺, 胸腺周囲脂肪織を切除した. Rosaiの分類では上皮細胞の形状がround-oval, リンパ球がpredominantであった. 付随胸腺には上皮細胞の増殖像がみられた. 40Gyの放射線照射を行い退院した. 術後約4ヵ月目に労作時呼吸困難を訴えたので検査したところ, 純赤芽球癆と低γ-グロブリン血症が発見された. 画像診断を繰り返したが腫瘍の再発はみられなかった. 純赤芽球癆はステロイドの投与によって著明に改善した. 純赤芽球癆の発症後, 約7ヵ月経過した現在, ステロイドを減量中であるが貧血の状態は改善している. 純赤芽球癆(以下PRCAと略す)の治療として, 合併した胸腺腫の切除がしばしば行われるが, われわれは合併症のない胸腺腫に対する手術ののち, 約4ヵ月目に発症したPRCA症例を経験したので報告する.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 純赤芽球癆, 浸潤型胸腺腫, 胸腺全摘除術後, 術後放射線療法
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