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貯血式自己血輸血を行った開心術症例の貯血後及び術後貧血へのRecombinant human erythropoietin(KRN5702以下EPO)投与の有用性と投与方法を検討した. 投与方法はEPO 200IU/kgをフェジン40mgとともに静脈内投与した. 対象は待機的手術連続47例である. これをA群(14例；術前3週間, 術後2週間の週3回投与, 貯血量800ml)と, B群(33例；術前8日間, 術後2週間, 連日投与, 貯血量400ml)に分けた. 対照としてEPO非投与のAO群(11例；平均貯血準備日数14.8日, 貯血量835±33ml)と, BO群(7例；平均貯血準備日数7.3日, 貯血量406±34ml)の2群をとった. EPO投与群は全例自己血のみによる開心術が可能であったが対照群はBO群7例中2例で同種血輸血を要した. 貯血前を基準としたHb値の変化は, 手術直前にAO群は-1.7±1.3(g/dl), BO群は-1.0±0.6(g/dl)とAO群で有意に低下したが, A群は+0.14±1.3(g/dl), B群は+0.04±1.0(g/dl)であり, 貯血による貧血の進行を認めなかった. 手術直後の値を基準としたHb値の変化は, AO群では4日後に-0.84±1.8(g/dl)と低下し, 2週後に+0.08±1.4(g/dl)と回復した. これに対しA群では手術後の各時点で基準を上回った. BO, B群間でも同様の傾向があった. A, B群間でHb値の変動を比較すると手術2週後にA群は+1.1±1.6(g/dl), B群は+2.1±1.8(g/dl)とA群に比べB群が有意に高値であった. 以上の結果, 貯血式自己血輸血にEPO投与を併用することは貯血後及び術後の貧血の早期改善に有用であることが示された. EPO投与法は, 特に手術後の貧血の改善についてA群(長期隔日投与法)よりB群(短期連日投与法)の方が効果的であった. |
