アブストラクト(39巻12号:日本胸部外科学会雑誌)

Title : 冠血行再建術後の前縦隔洞炎に対する大網移植術成績の検討
Subtitle : 原著
Authors : 白石義定1), 宮本忠臣2), 嶋田一郎2), 朴昌禧2), 榎本栄2), 新蔵信彦2), 大野暢久2), 仁科健2), 織田禎二3), 武内俊史3)
Authors(kana) :
Organization : 1)大津赤十字病院心臓血管外科, 2)小倉記念病院心臓血管外科, 3)京都大学医学部心臓血管外科
Journal : 日本胸部外科学会雑誌
Volume : 39
Number : 12
Page : 2152-2156
Year/Month : 1991 / 12
Article : 原著
Publisher : 日本胸部外科学会
Abstract : 最近, 開心術後の前縦隔洞炎に対する治療法の1つとして大網移植術が注目されている. 過去4年半に冠血行再建術後の前縦隔洞炎21例(男性16例, 女性5例, 年齢64±7歳)に対して行った大網移植術成績を検討してみた. 冠血行再建術から前縦隔洞炎までの期間は6日から14日(平均10日)だった. 原則として前縦隔洞炎と診断した時点で前縦隔洞を開放し, 大網移植術まで0.5%povidone iodineで洗浄した. 前縦隔洞炎から大網移植術までの期間は0日から5ヵ月で, 1週間以内11例(52%), 1~2週間4例(19%), 2週間~1ヵ月3例(14%), 1ヵ月以上3例(14%)だった. 大網移植術によって19例(90%)で前縦隔洞炎が治癒したが, 移植した大網の血行に問題が生じた1例と重症心不全を合併していた1例で前縦隔洞炎が軽快せず, その後, 多臓器不全で失った. 前縦隔洞炎が治癒した19例のうち2例では, 胸骨炎, 肋軟骨炎が残存したため, 胸骨, 肋軟骨郭清術を要した. 大網移植術に起因する合併症は認められなかった. 以上の結果は冠血行再建術後の前縦隔洞炎に対する早期大網移植術が有効, 且つ安全であることを示しており, 推奨に値する術式であると結論した.
Practice : 臨床医学:外科系
Keywords : 冠血行再建術, 前縦隔洞炎, 大網移植術
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